価値観、協調性と言っても漠然として判りにくいと思います。しかしこれがあまりにも別々な方向を向いていたら医院としては成り立たなくなります。
例えば、道端で困っている人がいるとします。その対応として
- すぐに声を投げかける人
- 声をかけなかったけど、かけた方が良かったかなと後悔する人
- 何も感じない人
- 声を掛けて何かトラブルに巻き込まれるのがイヤなので、声を掛けない人
その他まだ有るかもしれませんが、この4つの対応には正解も間違えもありません。
ただ、1,2を選択する人は、3,4を選択する人とチームを同じにする事はストレスになると思います。
また、3,4を選択する人に1,2の考えを提案する事もストレスになり、お互い不幸な事になります。
この条件だけではありませんが、ちなみに当院は1,2を選択する人を採用します。(笑)
1
2
3
4
5
「1」の電話、履歴書についてポイントは、言葉使いはもちろんなのですがやる気が伝わってくるか、覇気があるかとか、丁寧で気持ちの伝わる文面か?今迄の経歴がぶれていないか?1つの職場や物事に腰をすえて向き合っているか?等を大まかに確認しています。
「2」の面接までは院長の私は応募者の方と顔を合わせる事はありません。主任に対応をお願いしています。ポイントとしましては当院の方針、労働条件の提示での反応をみたり、目をみて自然な笑顔で語れるか?を診ていると思います。また、適性検査なのですが、今まで様々な会社のテストを試したり、スタッフにそれを試してみましたがピンと来るものはありませんでした。今では本で出会った質問集や、うまく当てはまった質問のみを抜き出してオリジナルの基準で判断しています。
「3」の1日を通しての見学、体験はスタッフとの相性を見るものです。一緒に行動したりランチをしたりしてスタッフに判断してもらっています。その際スタッフの一人でも価値観や協調性の違いを感じた場合は残念ながら採用を見送らせてもらいます。
最後の院長による面接は応募者の方から今日の感想、質問と採用条件の再確認のみです。それまでにスタッフや主任から報告があがってきていますのでオマケみたいなものです。(笑)
「4」「5」の試用期間から本採用は応募者の実際の歯科医療の経験を通じての適正の再確認、また本人の意欲の再確認も行っています。
その理由は以前他の応募者の面接で「昔いきなり本採用となり、その職場の水が合わないにもかかわらず辞める事を言い出せず、精神的に苦しみ病気を患った。」と言う声を聞いてからです。当院だけではなく、応募者も自分を見つめなおす大切な期間、ステップは必要と感じています。
この様な慎重なステップを踏んでも採用者の初出勤日はドキドキします。昔、医院に体力が無く応募者に充分な採用条件を提示出来ない次期がありました。そして、晴れて初出勤日の当日の朝に1通の手紙が置かれていました。内容は他院の勤務にしたいとの事でした。本人も苦しんだと思いますし、充分な条件を提示出来ない自分にも情けなく思いました。
その経験のおかげで、今でも当院に勤めてくれるスタッフには本当に感謝していますし、謙虚に接する事を心がける様にしています。また、勤務しているスタッフには、医院で出来る限りの楽しい体験、出会い、経験を積んでもらおうと心に誓っています。
前後する事がありますがクリーニングまで終了後、歯科医師による治療そして定期的なメンテナンスと患者様を案内していきます。
当院では、初診後の治療計画終了時、全ての治療の終了時、メンテナンス時には、必ずはがきによるメッセージを添える様にしています。このハガキにより治療中断も少なくなり、また何より患者様との距離が格段と近付き、笑い声や会話が増えた様な気がします。
最近はモチベーションアップの為へと位相差顕微鏡での画像や様々な検査がメディア、雑誌等に取り上げています。しかし実際当院で顕微鏡画像を視たり、自分の歯型で説明を受けて「初めて視た。初めてこの様な説明を受けた。」と言う方が非常に多いと感じています。
様々な検査を導入している医院も多いと思いますが、まだまだ歯科医院から一般の方への啓蒙活動は足りないんだなと思っています。
この治療の進め方だとすぐ処置を行う場合に比べ時間や回数がかかると思いますし、手間も懸かります。しかし人生80年、90年と言われる時代です。「急がば回れ」、患者様に健康を提供し長くお付き合いする為の発想から大切な事と考えてます。
そしてこのシステムを継続する事で患者様も楽しく医院に通われ、スタッフもストレスが少なく働ける様になり、笑顔、笑い声の絶えない医院となっています。
近年当院にも歯科恐怖症の方、初診時にも「笑気麻酔は無いか?表面麻酔をして欲しい。」と言う患者様が来院する事があります。私はこの原因は歯科医院への不信感、コミュニュケーション、説明不足からくる不安と考えてます。ですからこの様な患者様には必ず予防治療から入り、リラックスや不安を取り除いてドクターの治療に取り掛かる様にしています。当院は笑気麻酔を備えていません。しかし最初に不安などを取り除く事により、歯科恐怖症と訴えた方、笑気、表面麻酔を要望した方もドクターの治療の際に表面麻酔をしなくても良い様になっています。本人達も緊張しながらも診療室に入り、会計時には辛かったながらも笑顔で受付で会話を楽しんで帰る姿を見ると私も嬉しく思います。